Tales OF Seek 第4話「近づく欲望」2(Wルート)


第4話「近づく欲望」2(Wルート)

「兄さん……。兄さんになら全てを話しても、きっと大丈夫だと思う。僕は信じてるから。……なにがあったのか、全部話すよ」

 シィクはロックスに全てを打ち明けた。
ラピスを盗んだゴロツキたちを見つけ、取り返そうと提案したこと。
戦闘になり、返り討ちにあったこと。
満身創痍の中、ローザの様子が急変し、人が変わったようにゴロツキたちをなぶり、殺したこと。 挙げ句、シィクたちにさえ武器を向けたこと。
さすがのロックスも、これらの報告を受けて驚きを隠せずにいた。

「これが……さっき起きたことだよ。兄さん、勝手なことをしてごめん」
「……いや、ああ。すまない、ここまで大変な目に遭っていたとは思わなかった」

ロックスは怒鳴ることはなかった。あごに手を当て、沈黙。その仕草が意外に思えて、シィクは内心首を傾げた。

「少し、考えをまとめさせてくれ」
「え? ああ、うん……」

 しばらく思案に耽(ふけ)るロックス。
重苦しい沈黙が続く。 カチ、カチと秒針の音がうるさい。ごくりと唾を飲む音さえ響くようで、シィクは全身を強張らせた。
やがて、ロックスが口を開く。

「わかった。今度なにかあったときはすぐに対応できるよう、ローザは俺が気にかけておこう」
「えっ!?」

それだけ告げて、ロックスは部屋をあとにした。
残されたシィクはその言葉をどう解釈するべきか判断できていない、また選択を誤ってしまったのではないかと不安が募る。言葉の真意を尋ねることはできないままであった。

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